本文へジャンプ

計算戦隊シソクレンジャー
第5話 加減乗除の秘宝


 旅の目的について話し合う、カケちゃんマン、タスちゃんマン、ヒクちゃんマン。

「数学ワンダーランドへ行って、飢えた国民を救おうと思っている」
「俺は、お宝さがしさ。ワンダーランドに着いてお宝をゲットしたら、さっさとおさらばだ」
「僕は、ワンダーランドへ行ったら何かいいことがあるんじゃないかなぁとは思っていたけど、タスちゃんマンに誘われて一緒に旅をすることになったのさ」
「ヒクちゃんマンは北国の出身なのに、なぜここにいて北を目指してるの?」
「…もともと、王子としての帝王学を学びに南の方に来ていたんだけど、そこで故郷のクーデターを聞かされて、戻ろうにもパスポートもビザも全部無効になっていて…」
「それで俺が誘ったんだよ。ワンダーランドに行けば国を元に戻せるかもしれないだろ」「いや、いいんだあんな国。父王も母王も弟たちもみんな死んでしまって、今国を治めているのは軍隊さ。僕一人ではどうすることもできないし、むしろこんなネガティブな自分を何とかしたい…」

 それぞれ、思いは違うが数学ワンダーランドを目指すという目的は一致しているのであった。

「君たちの胸についているワッペンも、王家に伝わる秘宝だったの?」
「王家に伝わる秘宝だと?笑わせるな」
「僕も、タスちゃんマンも、生まれたときからこの格好なんだよ」
「ほんとに!?」
「そういえば、父王が言っていた。
 古き言い伝えでは、加減乗除の4つの力は選ばれた者が
 1つずつ具えられるものだって」
「じゃ、俺たちは選ばれた者だというのか」
 そう。セキタ王国には『乗』の力が伝わっていて。
 それが、このマントと『×』のワッペンだ。
 これらを装着すると『カケちゃんマン』となり、
 乗の力を発揮することができる、って」
「じゃ、「乗」「加」「減」の秘宝がここにあって、あとは「除」の秘宝があれば…」
「4つ揃うってわけですね」
「そう。「加」「減」「乗」「除」の4つの計算力を具えた者にのみ、数学ワンダーランドへの道は開かれるらしい。」
「いや待て。我が加族では、開かれるきっかけができる、という言い伝えだったぞ。
 つまり、集まっただけでは道は開かれなくて、それからさらに何かしないとならないん
 だ。うわぁ、嫌でも4人揃わないとダメなのかぁ」
「いずれにしても、全ては4人揃うことが先決なんだな。
 残りの1人もたぶん、数学ワンダーランドを目指して旅をしているかも知れない。
 どこかで出会うと思うから、そこで合流して、4人で目指すことにしようじゃないか。
 それまでは、どんな敵が相手でも勝てるように、修行しながら北を目指すしかないな」

 その様子を水晶を通して立ち聞きしている、ルート王国の魔導師コックドーの後ろ姿。

「なるほどな。修行しながら北へ行く道を選ぶか。
 だがこやつらを北へ向かわせる訳にはいかんのだっ。
 攻撃用意っ!」
「ハッ」

 話をしていた3人の前に、問題文が書かれた立て札が立ちはだかった!

〜350円を持って買い物に行き、1本60円のペンを5本買いました。
 おつりはいくら?〜

タスちゃんマン「415円だっ!」

 ドーン!!タスちゃんマン、気絶。

ヒクちゃんマン「ええと、350−60×5?? 290×5??」

 ドーン!ひくちゃんマンも気絶!

カケちゃんマン「50円だろう」

 キラキラキラ…… 正解。

 カケちゃんマンは、気絶している2人を介抱しながら考える。

 この2人の計算力っていったい…。
 タスちゃんマンは、たし算においては俺より速い。しかし何でもたし算してしまうようだ。
 ヒクちゃんマンも、ひき算は速いけれども、他はそうでもないみたいだな。
 たし算とひき算とかけ算が混ざった計算の場合は、かけ算を先にしなければならないのだが、この2人がそのことを納得するかな…。特にタスちゃんマンが…。
 自分にできることは、この2人が計算を始めるより早く問題の意味を読み取って、何より先にかけ算をすることができるように修行をすることかな。
 しかしこれから先、こんなに気持ちがバラバラでいいのだろうか…。
 うまくいくまで、3人で練習しながら実践を重ねていくしかないのだろうか…。

 一方。
 こちらは久々に登場のハクション帝国。
 今日もスンチー一味は両手を挙げて、ビリビリ光線をコックドーに上納している。
 上納しながら、スンチーの子分たちの会話。

「これだけ毎日光線を納めても、まだ王子を討ち取れないのか」
「かといって俺たちの力で王子を倒すことはできないし」
「こないだのコックドーの話では、王子が3人に増えたようだし」
「魔王様も、もっと強い力を我々に授けてくれてもよかったのに…」
「まぁ、魔王様のことだから。仕方ないだろう」
「おそらく、強い力を授けると自分の命が危ないとでも思ってるのかもな…」

「おい!」

 スンチーが止める。

「魔王様の悪口を言うのはやめろ!」
「へい親分、すみません」
「そうですね。魔王様の耳に入ったら大変だし」
「そうではない!我らは500年間、いやそれ以上、代々魔王様に仕えてきたんだ。
 その魔王様の悪口を言うということは、我々がこれまでしてきたことを否定することに等しいぞ!
 今後魔王様のことを悪く言うのは慎め!」
「…はい、わかりました」

 しかしスンチーも、実は子分たちと同じことを考えていたのであった。

 それぞれが暗い思いを抱えたまま、次回に続く。