本文へジャンプ

計算戦隊シソクレンジャー
第8話 秘宝の秘密


タスちゃんマン、ヒクちゃんマンはそれぞれ、加族、減族の末裔である。
北国出身のヒクちゃんマンは、帝王学を学びに南の国に留学していたが、
留学の間に自国にクーデターが発生し、故郷に帰れなくなった。
そんなときに、2人はばったり出会った。
お互いの姿がよく似ているので意気投合した。

自国の事情を話すヒクちゃんマン。
黙って話を聞いていたタスちゃんマンだったが、
「よし、俺たちで黄金の国、数学ワンダーランドを目指そう。
 俺はワンダーランドの黄金が目当て。
 お前は国を何とかするのが目当て。
 どうだ。そうと決まったらさっさと出発出発!」
「……」
 ヒクちゃんマンにとっては、実は自分の国を建て直す建て直さないはどうでもよかった。
 ただ、ワンダーランドに行くと何かいいことがあるくらいにしか思っていない。少なくとも今の境遇よりはましだ。
 そう思って、2人は一緒にワンダーランドを目指すことになったのである。

 今日は、カケちゃんマンは一人で体を鍛えに出ていた。
 タスちゃんマンとヒクちゃんマン、自分の刀を研ぎながら留守番をしている。

+「カケちゃんマンって、セキタ王国の王子だよな」
−「そうだな。実際の体はもっと大きいの」
+「ワッペンとマントを装着すると、カケちゃんマンに変身すると言ってたな」
−「そうだね」
+「我々、この状態で生まれてきたんだよな」
−「確か、そうだったと聞いてるよ」

 …。

+「本当にそうなんだろうか…」
−「何が?」
+「ホントにこの状態で生まれてきたのだろうか」
−「そんなの、疑ったこともないよ」
+「いや、このワッペンとマントって、もしかしたら外せるんじゃないか?」
−「まさか!」
+「ものは試しだ。我々の変身を解いた姿ってものがもしあるとすれば、見てみたいとは思わないかね?」
−「いやあ、別に…」
+「いや!俺は見てみたいぞ!試しに同時に互いのワッペンをはがしてみないか?」
−「うーん、あまり気が進まないけど…」

 向かい合う2人。
 なぜか、ここから先の2人の様子は、ずいぶん遠くからの描写になる。
 豆つぶほどの2人の様子になり、読者には様子をうかがい知ることができない。

「せー、のー、でっ」

ベリッ!

+「……」
−「……」

 …。

+、−「わっはっはっはっ、
    ひーっひっひっひっ、
    ぐふふふふふっ……」

 激しく笑い出す2人。

 …。

+、−「おいっ!人の顔を見て笑うなんて、失礼だろっ」

 同時に同じことを言ってしまった。

 …。

+「いや、しかしすごい顔…」
−「お前だってすごい顔…」
+「一体俺の顔って、どんな…」
−「…」

 恐る恐る、鏡に自分の顔を写してみる2人。

+「うっ!」
−「こ、これはっ!」

 …絶句。

+「んー」
−「見るんじゃなかったね」

 ワッペンを装着するタスちゃんマン。
 しかし、元に戻れない!

+「あれっ!」
−「おい、それ僕の」
+「あ、そうか」
−「待てよ。ということは、僕が+のワッペンをつけても、タスちゃんマンにはなれないということ?」

 互いのマントとワッペンを交換して装着してみる2人。
 しかし、何も起こらない。

+「選ばれし者だけが装着できるという言い伝えは、本当だったみたいだな…」
−「僕たちって本当に、加の力・減の力を持つ者として選ばれし者…だったんだ…」

 そこに、問題の立て札が登場!
 自分のマントとワッペンで変身する2人。

〜バスに52人乗っています。停留所で23人降りて43人乗りました。今何人乗っているでしょう〜

+「ヒクちゃんマン!」
−「52−23=29!」
+「29+43=72!」

 キラキラキラ… 正解!

+「やったぜ!」
−「おい、今、珍しく先に計算を譲ったね」
+「いや、何となく…マントとワッペンの秘密がわかりかけてきたからな…。
  問題の意味を考えて、しっかり役割を分担しなければならないかな…。
  という気持ちになったんで…」
−「偉いよ!タスちゃんマン!!」

 ここで、カケちゃんマンが鍛錬から帰ってきた。
 2人の様子がおかしいことに気づく。

×「おい。どうしたんだ2人とも。急に大人になったようなさっぱりした顔をして」
+「…いや、何も」
−「でも、タスちゃんマンも、カケちゃんマンも、これからもよろしくね」
×「……なんだよ急に。背中がかゆくなるじゃないかっ」

 北に向かって、出発する準備を始める3人。

 この様子を一部始終、水晶から見ているルート王国、コックドーの後ろ姿。

「あのバスの問題程度では難なくクリアできるまでに成長したか。
 奴らの素顔、なぜかわしには見えなかったわい。
 あの狼狽ぶり、よっぽど不細工と見える。ふっふっふ…。
 それにしても、あの秘宝を奪い取ったところで、
 それを使いこなせる者がいなければ、秘宝としての効果はないらしい…。
 奴らを殺してしまっては、元も子もないわけだ。これは気づかなかったわい。
 よし、ここは奴らを死なないように鍛えて、様子を見るとするか」