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「教室がなごむお笑いのネタ」
第12回 「お笑い」が苦手な先生への処方箋
山田洋一
(『授業づくりネットワーク』(学事出版)2007年3月号掲載)
執筆者紹介
山田洋一
やまだよういち 昭和四十四年生まれ。札幌市出身。北海道天塩町立天塩小学校勤務。
堀裕嗣・山田洋一編/教育実践研究サークルふろむA著『中学年学級担任の責任』(明治図書)
「好きですか・嫌いですか」ゲームというのがある。(上條晴夫編『お笑いに学ぶ教育技術』学事出版参照)
まず、一人の子どもを指名し、黒板を背にして立たせる。
黒板に任意の言葉を教師が書く。例えば、「ゴキブリ」と書いたとする。始めに教師が立っている子どもに質問する。
『これが、好きですか、嫌いですか?』「好きです」ここで、フロアの子どもたちに「反応」するように指示する。もちろん、「えー!」の大合唱。
次に、『これは、台所の隅でささっと動きますか、動きませんか?』と訊ねる。答は「動きます」。フロアの子どもたちは「そうそう」と納得のリアクション。
『これは背中がぴかぴか光っていますか、光っていませんか?』「光っています」「そうそう!」
続いて、フロアの子どもたちに質問を引き継ぐ。「これは食べられますか、食べられませんか?」「食べられます」「えー!」
このようなやりとりをしていき、解答者の子どもが黒板に書かれた文字を当てるというゲームだ。
さて、このゲームを盛り上げる極意は、ずばり次の点である。
実は、一人目の解答者の時は、さほど面白くないこのゲーム。二人目からは、爆発的に盛り上げる方法がある。それは、二人目に「校長先生」と出題することだ。
そして、一人目の時と同じ質問事項を繰り返してやるのだ。
『これが、好きですか、嫌いですか?』
『これは、台所の隅でささっと動きますか、動きませんか?』
『これは背中がぴかぴか光っていますか、光っていませんか?』
『これは食べられますか、食べられませんか?』
なんせ、答は「校長先生」だ。教室がわくのが想像いただけると思う。
「お笑い」が苦手な先生は、実は勘違いしているのだ。
つまり、「お笑い」をやるためには咄嗟に面白いことが言えるというような瞬発力が必要だというふうにだ。
しかし、このゲームに必要なのは瞬発力ではない。
気をつけなければいけないのは、「ゴキブリ」のあとが「校長先生」でなければいけないということである。
つまり、
が重要なのだ。
ついでに、「校長先生」のあとには「山田先生」を出題する。
ここでは、初発の質問が重要である。
『これが、好きですか、嫌いですか?』
この質問に対する子どもの答へのリアクションに、私は命をかける。
つまり、子どもの答が「好きです」なら、後ろで満面の笑みを浮かべ、逆に「嫌いです」なら、後ろでげんこつを落とすマネをする。そのように、私のリアクションは前日の夜から決まっている。なぜなら答が二者択一だからである。はなからリアクションまで決めておけるわけだ。
つまり、「お笑い」とは高度に仕組まれたヤラセなのだ。
「お笑い」は、決して面白い一部の教師のものではないのである。
真剣にヤラセをやりきれる誠実な教師にだけできる技術なのである。
この連載は、月刊雑誌『授業づくりネットワーク』(学事出版)の掲載から1ヶ月後にこのHPに登場します。
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